■ 防音対策「サポートプロジェクト−HY邸・機械騒音との闘い」 ■


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 ある日、一人の女性からサポート専用フォーム(防音対策相談メール)に騒音対策の相談が寄せられた。
 「助けてください。音が天井から部屋の壁から、部屋中に騒音が響き眠れません・・・。」
 これが、あるマンションの騒音との闘いの始まりだった。

■誰もが見放した騒音状況
 依頼者は管理会社や不動産調査会社・施工業者・建築士にも相談したが、こんな機械騒音は対処できないと、誰もが 見放した騒音状況であった。階下の車庫シャッターの開閉音がコンクリート躯体に直接的に振動を与えている固体伝播音が 原因であった。
 管理会社はシャッター巻取り箇所の調整などを行ったが殆ど効果が無く、相談した専門業者のなかには、床スラブ全体が振動 している状態なので対策は困難と指摘した。

 テレビや雑誌などのコマーシャルに力を入れている不動産調査会社などは、調査した結果、解決方法はないとまで言い切った。

 果たして、本当に解決方法はないのだろうか?私は大いに疑問に思い現地調査を行い、依頼者と打合せを行った。

■一筋の光「きっと、騒音は小さく出来る」
 私がまず疑問に思っていたのは、専門家たちが誰一人、GL工法躯体壁面の問題について言及していなかったことである。 また、問題の寝室やリビングの構造を詳細に検討しないで頭から対処できないと決め付けていたことである。

 防音対策は騒音の発生源を特定することと、騒音による共振・共鳴現象の要因、弱点となる問題構造の分析が最も重要である。 この分析をもとに具体的な防音対策を検討することが勝負の分かれ目である。
 私の分析結果は、天井の梁がGL工法で施工されているため、天井から騒音が降りかかるように聴こえる。また、床スラブの 振動よりもGL壁面の共振の方が騒音として顕著であると結論付けた。
 ならば、既往の事例から見ても対策は可能であると依頼者に提案した。ただし、絶対的な効果は保証できないが、少なくとも 現状を改善することは技術的に可能であると伝えた。「きっと、騒音は小さく出来ると思います。」

 依頼者の顔に一筋の光が見えた。「いかずちさん、ぜひ防音対策の立案・設計をお願いします。」

■防音対策の立案「GLの振動を抑える」
 しかし、対策は容易ではなかった。シャッターを巻き上げる音が「ガタガタ、ゴトゴト・キューン」と響き私の前に 立ちはだかった。

 私は以前、別件で隣の戸境界壁(GL工法)からの騒音対策を請け負い、見事に騒音をシャットアウトした経験があった。今回も メカニズムは共通している。が、騒音のレベルが今回は大きい。少し厳重な対策を設計しないと対応できないと感じていた。

 まず、予算上の制約から大きな弱点となっている躯体壁及び梁面の内装を撤去して、重点的に新たに防振下地を構築することを 考えた。
 次に、吸音・防振・遮音のシステムを形成して備えることとした。防音ボードは、念のため提携メーカーからデータ及びサンプル を取寄せ、担当者と打合せを行った。できるだけ廉価で高性能な防音材料を検討した。

 また、リビングは予算がなく、私が提携メーカーの防振材を特別に自ら壁面上に隙間無く張り付け、さらに職人に私が用意した 防音ボードを取り付けてもらうことにした。簡易防音だが、かなり防音効果はあると考えた。

■防音工事「リビングと寝室を同時に振動を抑える」
 主な工事は職人が施工するが、目透かしの確保・コーキング処理による共振回避などの配慮を私がチェックして万全を期した。 また、梁面の防振処理についても要所要所でチェックして下地の取り付け状況を確認した。


*梁面及び壁面のGL団子をコンクリート躯体からはつり・削り落として撤去して新たな下地の準備をする。
*コンクリート面に防振絶縁材(断熱効果有り)を介して木材で防振下地を取り付ける。。
*次に下地の間に吸音材をはめ込み、下地の上から防振ゴムで隙間無く張り付け、つなぎ目を遮音テープ又は気密テープで 塞ぐ。


*防振材の張り付けが完了したら、防振性のある遮音ボードを取り付ける。。
*梁面の遮音ボードは天井に接触して共振しないように数ミリ遊びを設け、目透かしする。
*最後に目透かし部に弾性コーキングを充填して、その上からクロス用のパテで均しクロス仕上げを行う。


 また、同時にリビングの壁面に隙間無く防振材を私が張り付けた。このあと、職人が遮音ボードを取り付け、最後に寝室と 同様にクロス仕上げを行った。

*防振・遮音対策のためユニマットR(遮音防振マット:厚さ3ミリ)を接着剤とタッカーで留める。
*ユニマットRを張り終えたら、遮音ボード(ユニボード125R:厚さ12.5ミリ)を取り付ける。
*最後にクロス用のパテで均しクロス仕上げを行う。


■防音成功「振動音が小さくなった。これで眠れる。」
 全ての防音工事が完了した時点では、騒音がかなり低減されたと体感できたが、音を完全にシャットアウトすることは できなかった。これは施工していない床面からの音漏れなどが要因として考えられる。
 しかし、寝具など家具を施工前と同様にセッティングすると、さらに防音効果が体感でき、依頼者も音がかなり低減できた ことを感じた。「振動音がかなり小さくなりました。これで安心して眠れます。」

 また、簡易防音を行ったリビングのほうもかなり騒音が小さくなり、依頼者はかなり満足されたようだった。今後、気になる 箇所が生じれば、簡易防音対策でも十分な効果を体感できるので、相当安心感を与えたのである。

 今回の防音対策は、制約条件がありながらも想定した防音効果が発揮でき成功と言える。 さらに、上下階のドアなどの開閉音(固体音)も殆ど響かなくなり、防音設計と施工の確かさを体感することができた。

■依頼者の声「ありがとう。やっと自分の住まいに愛着がもてます。」
(以下は、依頼者のご報告です。※内容が一部重複していますが、ご本人のニュアンスを正確に伝えるため、殆ど編集して いません。 ※文中の「いかずち」は私が欠陥マンション・サポートをボランティアで行っていた頃からのペンネームです。)

 騒音で心理的苦痛を抱えていらっしゃる方の一助になればと思い、投稿させていただきました。

 私のケースは、階下にある共用設備が駆体に直づけされており、そこからの機械音が部屋中に響きわたっていました。 階下にあるのに、天井や壁から音がふってくるという感じです。 施工業者にも苦情を訴えましたが相手にされず、また、 その業界の何人かの人にも相談したのですが、設備を駆体からはずさない限りどうすることもできないと言われてしまい、 途方にくれていました。
 最後の望みと思って、こちらのサイトにコンタクトを取り、自分の部屋を防音リフォームすることにした次第です。

 本格防音した部屋は、今まで間近で響いていた機械音が、かなり遠くから聞こえるような感じになり、ほとんど気にならなく なりました。これで睡眠中に起こされることもなくなりました。
 簡易防音した部屋の方も、かなりにぶくなりました。こちらは、防音したスペースが、部屋の大きさの割には少なめでしたので、 もっとスペースを広げれば、かなり低減されるだろうな、という感じです。
 簡易防音は、内壁をこわさないでもでき、コストも抑えられるので、もし今後も気になるようなら、この防音方法で他の部分も やろうと思います。そう思えるだけでも、心理的負担が本当に軽くなりました。
 いかずちさんの、”ありのままの見込み”というのが、技術屋さんとして信頼できる所以です。
 それに、調査時点で方針の糸口が見えると、本当に安心感が生まれますね。方針が見えない数年間は、精神的にきつかったです。

 防音工事完了後、数日暮らしてみて、かなりシャッター音がにぶくなって、とても嬉しいです。昨日も寝入り際にシャッターが 動き出したのですが、遠〜くから聞こえてくる感じで、ほとんど気になりません。”かたかた”という音は、聞こえはしますが、 全体的に鈍くなっているので、起こされることはなさそうです。
 リビングの方も、聞こえはしますが、かなり鈍くなった感じです。簡易防音としては、本当に効果的ですね。

 付随効果として、今まで、上階の排水や扉の音、廊下の歩く音、階下のゴミ置き場の扉の開閉音など、そう気になるわけでは なかったのですが聞こえていました。それが、ほとんど聞こえなくなりました。

 やっと、自分の部屋に愛情が持てるようになりました。思い切りリフォームしてみて、本当に良かったです。いかずちさんの おかげです。本当にありがとうございました。

 ※参考事例:誰もが諦めていた天井防音解決



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